北原かおる
北原かおる
佐藤潔 所長
常識を覆す発見とその研究過程を
編集長が徹底取材
長年にわたり、シミ部位の特徴を解明してきたクレ・ド・ポー ボーテ研究所が、今までとはまったく異なる視点からの知見を発表。何が新しくて、メリットは何か。美白研究をリードし続ける研究員への取材から紐解く!
北原かおる
佐藤潔 所長
PROFILE
紫外線の肌への影響とメラニンの反応に関する研究に従事し、資生堂独自の美白有効成分、m-トラネキサム酸と4MSKの開発にも携わる。現在は、世界の主要機関との共同研究をリード。また、クレ・ド・ポー ボーテ研究所の所長を務める。

今回のシミに関する新知見は、遺伝子と関連するとお伺いしました。詳しく教えてください。

シミの研究は大きく2つに分けられます。ひとつは、すでにあるシミに対するもので、原因となるメラニンの生成へ働きかけて悪化を抑制しようというのがメイン。今回は、もうひとつの、そもそもシミができにくい肌へと導こうという研究の新知見となります。

シミのできやすさは、遺伝的な要因と考えて、諦めている人も多いように思います。

確かに親から受け継いだ遺伝的要素は大きいですが、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも紫外線の履歴や生活環境などによって、肌の質感が異なってくることが明らかになっており、シミにおいても、後天的な影響が大きいと考えられます。

紫外線を浴びすぎると、メラニンが増えるだけではなく、遺伝子的にシミができやすい体質になるということですね?

はい。遺伝子は、私たちの細胞の中にあり、体の設計図が書かれた本のようなもの。同じ遺伝子を持つ双子の肌質が変わるのは、環境によって設計図が書き換えられるのではと考えられていましたが、そうではなくどのページの設計図を使うかが変わってくる。10ページの設計図を使っていたのに、紫外線を浴びすぎると35ページを使うようになる、そんなイメージです。こういった遺伝子の後天的な変化を研究し、新たにたどり着いたのが、mTORというシミタンパク質です。

シミとどのように関連していますか?

本来、このタンパク質は、代謝調整や細胞分裂において重要な役割を担っていますが、私たちの研究では、シミがある肌の内部では遺伝子情報が変化し、働きすぎることが判明。表皮細胞が過剰に増殖し、そこにメラニンが大量に取り込まれて滞留。角層は重層化し、ターンオーバーが滞ることでシミができやすい肌になることがわかりました。

これまで散々、紫外線はよくない、ライフスタイルの影響は大きいといわれてきましたが、今回の知見は、その裏付けにもなりましたね。シミをできにくくするというのは、一見、効果を実感しにくいようにも思いますが、メカニズムが明確になったことで信頼ができるし、期待が持てる。〝予防美容"への意識が高まっている今、私たちのベネフィットはとても大きいと思います。

ありがとうございます。私たちは遺伝子研究に2003年から取り組んでいますが、その頃、ブレイクスルーがあり、それまでは関連がありそうな遺伝子に当たりをつけてひとつひとつ調べていたのが、網羅的に解析できるように。つまり、2万個ある遺伝子を一気に解析でき、シミがあるところとないところで、どの遺伝子の発現が多いか少ないかなどがスピーディにわかるように。飛躍的に研究が進みました。私たちはさらに遺伝子の後天的変化についても解析。大学病院の協力を得て、同じ人の皮ふを使って2つの解析を、そして自分たちの手で行うことにこだわっています。

自分たちで、とはクレ・ド・ポー ボーテらしいですね!

私たちが常に意識しているのは「本質は何か」ということ。解析技術が進み、膨大なデータが得やすくなっているため、実は単純に新しいことを見つけるのは難しくありません。だからこそ、その知見に意味があるのか、メリットがあるのか。表面的なことに流されず、常に突き詰めています。

その志は脈々と受け継がれているんですね。では最後に。「シミができない肌」は叶いますか?

多くの人に当てはまるシミができる共通要因は続々クリアになり、レーザー治療後に再発するシミへのアプローチも可能に。ただし一人一人、また同じ人でもシミひとつひとつで異なる原因があるため、完全に防ぐのは難しいのが現実。それでも技術と研究の進歩により、シミができない肌というゴールに一歩一歩着実に近づいていると考えています。
提供/クレ・ド・ポー ボーテお客さま窓口